漫画の単行本収録時の色

漫画の、雑誌掲載時にカラーだったページは、なぜ単行本収録時にモノクロになってしまうのだろう。
昔からの慣習であるとは思う。コストもかさむのだろう。
しかし、漫画にとっての単行本は、絵画にとっての画集であり、写真にとっての写真集といえる。画集や写真集は、例外もあるが、通常はカラーである。カラーで制作された作品は、通常、カラーで提供される。
カラーを前提に描かれた漫画のページをモノクロにしてしまうと、せっかく作家が描きあげた絵の魅力が半減してしまう。これは作家にとっても、読者にとっても不幸なことである。
カラーであること自体をネタにすることもあるし、色がキーになる物体をカラーページで描き、文字や台詞では色を表現しないという手法もありえる。せっかくの手法も、単行本収録時のことを考えて使えないのではもったいない。カラーだったページを、単行本でモノクロにするということは、漫画の表現の幅を狭めることでもある。
だから、カラーページはカラーのままで単行本に収録するべきだと思う。
そのために単価が上がってしまっても、それが妥当な値上がりであれば、仕方がない。


なお、この点に関して、漫画専門誌の単行本は、そうでない雑誌の漫画単行本に劣っている。
漫画を専門としない雑誌の漫画単行本は、当たり前のように全頁カラーだったりする。
「単行本はモノクロで」という常識に縛られた、従来の漫画専門誌の弱点といえよう。