ゴスフォード・パーク

日本語公式サイト: Have Fun With Kung Fu Monkey Slot With Jackpot Money As Reward


20世紀初頭、英国の使用人を描いた映画。
郊外に建つカントリーハウス“ゴスフォード・パーク”に、当時すでに時代遅れとなりつつあった貴族が集まり、ハウスパーティーが開催される。
ロバート・アルトマン監督。一応ミステリに分類される。TSUTAYAでもミステリの棚に置いてあった。公式サイトもミステリ風だ。事件が起こって、謎が解けるという、ミステリに最低限必要な条件も満たしている。
でもきっと、アルトマンはミステリっぽく作るつもりはさらさらなかったと思う。なにしろ、映画が始まってから1時間以上も事件が発生しない。そういえば、アルトマンは「アガサ・クリスティ風のミステリを」とか言ってた。クリスティは一冊も読んだことがないのだけど、こんな感じなのだろうか。とはいえ、作品をわざわざジャンル分けして「ミステリとしては云々」とか言うのは、まったく意味がない。


というわけで、この作品はミステリの体裁をとって使用人を描いた映画であると断定してしまう。使用人を描くことに、並々ならぬ情熱が注がれている。使用人を描くために、貴族の優雅で怠惰で退廃的な生活も描かれている。貴族がいなければ、使用人はいない。逆もまた真なりだが。
とにかく、こだわりの映像。たとえば、クロスを掛けないぴかぴかに磨き上げたテーブルの上に、ディナーの食器が並ぶ。たとえば、メイドの服が午前と午後で違う。たとえば、客の前に出る使用人はたいてい男性。たとえば、家政婦と料理長は、一応家政婦のほうが上ということになっているけど、料理長は家政婦の指示は受けない。などなど。
なぜか、右から給仕しているシーンが多く見受けられたのは違和感があった。理由は分かってないらしいが、給仕は左からだったはず。これを間違えただけで馘になった使用人もいたらしいのだけど。アドバイザーとして、実際に執事、キッチンメイド、ハウスメイドだった人たちを、おのおの呼んだらしいが、このうち給仕をするのは執事だけ。彼の仕えた家では、独自の流儀があったのかもしれない。もっとも、彼が「とんでもない! 絶対やってはいけない」としたことも、あえてやらせたりしたらしいから、そのへんはよく分からない。案外、フィルムが裏返ってただけだったりして。
映像は陰影がまた美しく、なんてことない薄暗いシーンでも、絵画のような雰囲気がある。
アコースティックな音楽もよくて、気分よく聞き入ってしまう。オープニングとエンディングは映像もきれいなので、ぼんやりと見入っていた。


物語やキャストの紹介などは公式サイトにあるので、それを参照していただければいいが、ひとつ間違いを指摘しておきたい。ミセス・ウィルソンはメイド頭とあるが、そうではない。彼女は家政婦。公式サイトのあちこちに書いてあるから、字幕が間違っているのかとも思ったが、女性使用人のトップという役割を見ても、家政婦としか考えられない。メイド頭はエルシー。映画の中で、ちゃんとそう言ってる。


本編を二回見て、コメンタリーを途中まで見たが、そろそろTSUTAYAに返さないといけない。
気に入ったので、DVDを買うことにしよう。


参考文献:
『エマ ヴィクトリアンガイド』http://pine.zero.ad.jp/~zad98677/book/vg-contents.htm