『数学ガール』(結城浩)




数学ガール

結城浩

最初は、コミックフラッパーの連載で知った。具体的に数式を取り上げて語り合う、少年少女の物語。この「正しい数学」がおもしろいなと思っていた。
ぐぐってみると、結城浩氏のサイトが出てくる。え?JAVAの?
原作は、結城氏だったのか。立ち読みだったから、原作があることすら気がついていなかった。字の本なら、もっと踏み込んで数学が書いてあるだろうと思って購入。


結城氏は「目指せ《理系にとって最強の萌え》」と書いている。
これは、数式萌えに違いない。ミルカさんとかテトラちゃんとか、そりゃキャラクターとして魅力的なのだけど、そっちじゃない。
ある式が、因数分解、和、積、漸化式、母関数、微分積分三角関数など、手持ちの材料を駆使して変形され、思いもよらない姿を見せる。可変翼の戦闘機が、二足歩行のロボットに変形するがごとく。
久しぶりに、本に書き込みしながら読んでしまった。中高生の時には、ノートを開くのをめんどくさがって、よく教科書や参考書の余白に計算をしたものだ。
第10章の「分割数」264ページには、以下のような書き込みがある。





主人公の「僕」が書き出した具体例から、漸化式を導いてみたもの。漸化式になってるかな。
ここからどこに進めばいいかな、と思いつつ読み進めると、その方向にはぜんぜん進まなかったんだけど。


この本で描かれる数学は、高校レベルあたりからスタートする。二次方程式三角関数って、中学ではやらないよね?
高校レベルの数学を、なんとなく覚えているくらいで充分だと思う。思い出しながらでも読んでいける。惜しむらくは、回転行列にどのような効果があるか書いてなかったことだが、まあぐぐればいくらでも出てくる
で、高校レベルを軽く超える。
高校までは「ここまでしか教えない」というカリキュラムがある。その先にある、おもしろいところを見せてもらえなかったりする。
だから、「数学って生活の役に立つの?」とかいう疑問が出てくる。
生活の役には立たないと思うよ。
でも、おもしろいよ。


学問って、おおむねそうなんだと思うけど。