研修中

名札の他に、「研修中」と書かれた札を付けた店員がいる。
研修中かどうかは、客には関心のないことであるが、なぜそのようなことをわざわざ提示するのか。
「研修中」と提示することは、「私は熟練したサービスを提供できません」と書かれた札を首からぶら下げているのと同じである。熟練したサービスが提供されないことを、嫌がる客はいても、喜ぶ客はあまりいないだろう。


熟練したサービスが提供されているか否かは、首から札をぶら下げてなくても分かる。だから、「研修中」が主張したいことはそれではない。逆なのだ。
「私が熟練したサービスを提供できていないのは、研修中だからです。大目に見てください」


これは言い訳ではないだろうか。客にとって、店員が研修中かどうかは問題ではない。支払った料金に見合う品質のサービスを受けられるかどうかが、問題なのである。
よく言われる、「酔っ払いのすることなので、大目に見てください」や、「子供のすることなので、大目に見てください」などと、よく似ている。迷惑をかけられた側にとって、誰がどのような状態で迷惑をかけたのかは、問題ではない。迷惑をかけられたという事実が、問題なのである。


新人の店員が、慣れない手つきでたどたどしく仕事をするのは、仕方ない。最初から熟練していることなどありえない。きちんとサポートがあって、客の受けるサービスに差が出ないのであれば、問題ない。
しかし、「研修中」という言い訳で、サービスの品質を大目に見てもらおうという店は、どうかと思う。