10年後の自分に「タキオンが見つかったよ」って言われたら多分信じる

はてなハイクの「10年後の自分に言われても信じられないこと」に、「タキオンが見つかったよ」とか書いたんだけど、後から考えるとそんなこと無いかなと思って。
ハイクは大喜利的なところがあって、本気で思ってなくても投稿しちゃうこともある。あんまり受けなかったけどね。


タキオンというのは、超光速で運動する仮想粒子。
特殊相対性理論によると、速度が上がるほど時間の流れが遅くなり、光速に達したところでついには時間が止まってしまう。光速を超えると今度は時間が逆行し、そんなことはありえんだろうということで、光速を超えることはできないということになっている。
だから、タキオンが見つかるということは、相対性理論を覆す現象が発見されたということ。いや、タキオンの時間が逆行しているなら、覆されたとは言い切れないか。
いずれにしても、事実だった方が、おもしろいじゃない。
超光速移動と、タイムトラベルができるかもしれない。
その前に「10年後の自分」が目の前にいることを信じなければならんわけだが。つまり、タイムトラベルが実現されることを。


星野之宣氏の、なんて作品だったか。
相対性理論を覆す現象が発見されて、それを確認したある科学者が、がっくりと老け込んでしまうというお話があった。
でも、本物の科学者は多分がっくりしない。興奮して、これを解明してやろうと意気込むと思う。
科学理論というのはすべて仮説にすぎず、観測されている現象をもっともうまく説明できるものが、真実に近いものを表しているとされる。科学者が、それを認識していないとは考えられない。




Spirit of Wonder

Spirit of Wonder

鶴田謙二

そういえば、SFで、光速を超えられるとする作品はあんまり見ない。火浦功氏の歯磨き対決の作品はそうだったかな。
ワープとかハイパードライブとかいわれるものは、超光速移動ではない。あれは、高次元などの特殊な空間に入り込み、「近道」することによって、通常空間では光速を超えないかぎり達成できない時間で目的地に辿りつく技術。
時間移動はわりとよくある。ところが、時間を逆行できるということは、光速を超えられないとする根拠が無くなっているということ。
サイエンス・フィクションといっても、「フィクションのサイエンス」って少ないんだな。鶴田健二氏の『Spirit of Wonder』はエーテル推進なんてあって、SFって現在の科学を無視していいんだ、ってウロコ落ちる思いだったが。