ホラー作品の恐怖



サイコ

サイコ



リング コンプリートBOX

リング コンプリートBOX

恐怖の最大の要因は、それが何であるか分からないところにあるのだと思う。
とりあえず名前が付いて、実は間違っていても正体の説明が付いて、その上実体が現れたら、もうアクション作品である。恐ろしい要素はなくなってしまう。

たとえば、映画『サイコ』や映画『リング』(日本版)で、その実体が現れたとき、たぶん一番怖いシーンを意図したのだろうけど、私は吹き出してしまった。
『リング』で恐ろしいのは、「見ると死ぬ」ということしか分かっていない、あの意味のわからないビデオテープの、意味のわからなさなんである。
しかし物語を持つ以上、謎は解明されてしまうもので、だからホラー作品は、話が進展するごとに、カタルシスと引き替えに恐怖が薄らいでいくのだ。
物語と恐怖は、相性が悪い。




ブレア・ウィッチ・プロジェクト

ブレア・ウィッチ・プロジェクト

そういえば『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』などは、物語がない。
物語がない代わりに、恐怖の正体が何であるか、エンドクレジットをむかえても分からない。
ホラー作品が、恐怖を味わうためのものであるならば、純度の高い有効な手法だと思う。
不気味な空気は壊れないが、謎が一切解明されないので、席を立つときに「で、何なの?」って言ってた人もいたな。